目のおはなし

神経乳頭陥凹または陥凹拡といわれたら

自覚症状はないのに、他の病気で眼科受診をしたときや、健康診断や人間ドックで神経乳頭陥凹または陥凹拡大を指摘されることがあります。 眼球は視神経で脳とつながっています。眼底検査で眼のなかをのぞくと、赤またはピンク色の視神経の出口が観察されます。これが、視神経乳頭です。乳頭の中心は少し陥凹しています。この陥凹が正常より大きいときに、視神経乳頭陥凹拡大といわれます。視神経の大きさに対して陥凹がどのくらいの割合であるかをみます。

この陥凹は緑内障のときに大きくなります。視神経乳頭陥凹または陥凹拡大を指摘されたということは、緑内障の疑いがあるということです。しかし生まれつき視神経乳頭の陥凹が大きい方がいます。人は顔や体型が違う様に視神経の形も様々です。生まれつきの視神経の形の場合は緑内障とは関係がないのでご安心ください。

ではどのような方法で、緑内障か生まれつきの視神経乳頭陥凹かをみるのでしょうか? 眼圧、視神経乳頭陥凹の形(これは専門的になります)、視野検査で判断します。

緑内障は眼圧(眼の硬さ)が高いことが継続して、視神経が弱り(視神経乳頭陥凹拡大)、発見が遅れると失明することもありますが、早期発見、早期治療により視野の進行を防止でき失明を防ぐことは十分可能な疾患です。また、眼圧が正常だからということだけでは緑内障ではないとはいえません。眼圧は、日内変動(例えば朝高い人や夜中に高い人)しますし、眼圧が一般的な正常値に入っていても、患者さんによってはその眼圧でも高いと感じてしまう為に視神経乳頭陥凹拡大が進行し視野も欠損してしまうタイプの緑内障(正常眼圧緑内障)があります。

緑内障のほとんどは自覚症状のない病気です。なにも異常を感じないから大丈夫だろうと気軽に考えてはいけません。視神経乳頭陥凹または陥凹拡大といわれたら、眼科専門医を受診して、視野検査、眼圧、眼底検査などの精密検査を受けましょう。

網膜色素変性について

有病率

海外では4000人に1人、日本では、厚生省研究班の全国疫学調査では推定患者数は約23000人 (10万対18.7) と推定されています。

遺伝形式に対する頻度

網膜色素変性では、常染色体優性遺伝、常染色体劣性遺伝、X染色体劣性遺伝のすべての遺伝形式をとります。網膜色素変性患者で各遺伝形式の占める割合は

  • 常染色体優性遺伝 17% (本邦) 19% (海外)
  • 常染色体劣性遺伝 25% (本邦) 19% (海外)
  • X 染色体劣性遺伝 0.2% (本邦) 0.8% (海外)

と報告されています。

網膜色素変性では、同じ病気の患者さんが家族内で存在しない弧発例も多いです。

主症状

夜盲、視野狭窄、視力低下を呈します。

**夜盲とは**
夜に星や星座が見えなくなったり、夜に一人で歩いたり車の運転ができなくなったり、映画館に入ると席に座るのが難しいなどの症状を呈します。
**視野狭窄とは**
患者さんが求心性狭窄を示せば物にぶつかりやすくなったことを訴えるようになります。輪状暗点を生じますと、ものが見えたり消えたりという症状が出現します。
**視力低下**
患者さんが視力低下を感じる時期は様々です。患者さんの生活背景によっても違ってきます。一般的には網膜色素変性が進行したために視力低下が生じることが多いですが、他の要因としましては白内障の進行、黄斑浮腫の出現で視力低下が急速に進行することもあります。

網膜色素変性の患者様への検査

視力、視野検査、色覚検査、蛍光眼底検査、網膜電図の検査が重要です。

眼底所見

★初期:網膜色素上皮の粗造化、網膜血管狭細化。特にごく初期では網膜血管狭細化のみを呈することがありますので、年齢に比して血管の狭細化が認められる場合はその後の定期的な経過観察が必要になります。
眼底所見初期

★ 中期:網膜色素上皮の粗造化、網膜血管特に動脈の狭細化が進行する。赤道部から中間周辺にかけて骨小体様色素沈着が生じます。白点が生じることもあります。
眼底所見中期

★ 後期: 後極部に網膜変性が進行し、眼底の赤色調は黄斑部に残存するのみか、または黄斑部も含み変性が進行します。視神経萎縮、脈絡膜硬化が認められることもあります。
眼底所見後期

網膜色素変性の眼合併症

白内障、緑内障、高度近視(X染色体劣性網膜色素変性のなかでRPGR遺伝子異常を持つ場合には高度近視を呈することが多い)、遠視(遠視はLeber先天盲でRetGC遺伝子異常を持つ患児に多く認められる)、Bull's eye maculopathy, 硝子体変性、視神経萎縮、網膜前線維症などを合併することがあります。

経過

網膜色素変性は進行性の疾患です。発症時期、進行度、予後はそれぞれの患者さんにによって大きく異なります。同一家系内に発症者が存在する場合でも、(同じ遺伝子異常を持つ場合においても)進行度が異なることが多く認められます。
網膜色素変性の原因遺伝子は多種類に及びます。原因遺伝子、または遺伝子異常の種類により進行度の予測が可能なこともありますが、原因遺伝子変異を確認できます患者さんはまだごくわずかです。また網膜色素変性は、常染色体優性遺伝、常染色体劣性遺伝、X染色体劣性遺伝すべての遺伝形式をとりますが、常染色体優性遺伝は比較的進行は遅く、X染色体劣性遺伝は20~30代で高度の視力障害を呈すると報告されています。
さらに、常染色体優性網膜色素変性では、無発症者(Asymptomatic Patient)が存在することがありますので、遺伝形式決定には詳細な眼科的検査と家系調査が必要になります。

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